ぶどうを犬に与えてはダメなのはなぜ?食べたときにおこる中毒症状に注意

犬にぶどうを食べさせてはいけない

最近になって「犬にぶどうを食べさせてはいけない」という知識が飼い主さんの間で広く知られるようになってきました。

「犬に与えてはいけない食べ物」としてよく知られるのが、チョコレートやアボカドなどですが、意外にもその中にはぶどうも含まれます。

レーズンぶどうジュースぶどうアイスなどもぶどうエキスが入っているので、同様に注意が必要な食べものです。

Wasabimama

ぶどう農家の私が言うのも何なのですが、ぶどうは犬にとって大変危険な果物ですので、絶対に食べさせたらいけません。
私の所属する神出観光ぶどう園でのぶどう狩りを、愛犬と一緒に楽しみたいという声もあります。

落ちたぶどうを食べてしまっては大変な事になるので、ワンちゃんと一緒に入園されることはお断りしています。

そこで今回は、犬にぶどうを食べさせる危険性についてとことん掘り下げていこうと思います。

目次

なぜ犬にぶどうを食べさせてはいけないの?

なぜ犬にぶどうを食べさせてはいけないの?

犬にぶどうを食べさせると、有害物質によって中毒症状を起こしてしまいます。

犬がぶどうを食べたときにおこる中毒症状としてもっとも多いのが「急性腎不全」です。

ぶどう中毒の原因物質として農薬、カビ毒、ぶどう由来の未知の成分など考えられていますが、未だ研究が進んでおらず、皮や種だけがダメなのか、果肉や果汁もダメなのか、ぶどうの何という成分が有害なのか、詳しいことはなにもわかっていないのが現状です。

日本でも、ぶどうや、ぶどうの皮、レーズンなどを摂取して死亡した症例が報告されています。

3 歳,雄,体重2.5kg のマルチーズが,種なし小ブドウ約70 グラムを食べた5 時間後から始まった嘔吐と乏尿を訴えて摂取2 日後に来院した.血液検査では重度の高窒素血症,高カルシウム血症,高リン血症,および高カリウム血症が認められた.利尿剤,ドパミン,点滴による治療を3 日間試みたが無尿となり,ブドウ摂取4 日後に死亡した.腎臓の病理組織検査では近位尿細管上皮細胞の著しい変性壊死が認められた.これらの臨床および病理組織学的所見からブドウ中毒と診断した.

日本小動物獣医学会誌:ブドウ摂取後に急性腎不全を発症して死亡した犬の1例

犬がぶどう中毒を起こすとどうなる?危険な量の目安は?

犬がぶどう中毒を起こす危険性

犬がぶどうで中毒を起こすと、食べて数時間で腹痛や下痢、嘔吐をくり返すようになり、その後、腎不全を発症する場合があります。

症状は食後2~3時間で現れることが多く、その後急激に悪化し最悪の場合死に至ることがあるため、誤飲したことがわかっている場合は早めに病院へ連れて行き処置をしてもらいましょう。

最悪の場合、1日で命を落とすケースもあります。

1粒で中毒になる犬もいれば3粒食べても何も症状が出ない犬がいたりと、個体差がありますが、分量に関係なく、ぶどうは絶対に食べさせないようにしましょう。

中毒を起こす目安としては、体重1kgあたりぶどう32gという説が一般的です。(体重5kgの犬で大粒タイプのぶどう一房の半分くらい)

犬が起こす腎不全

腎不全とは、『本来体の老廃物や毒素を尿として排出する役割を担っている腎臓がその機能の75%を失うこと』を言い、症状が急激に悪化・進行していくことから急性腎不全と呼ばれています。

急性腎不全を起こすと突然食欲・元気がなくなり、下痢や嘔吐、脱水などの症状が現れます。

また、尿量が明らかに減少したり、場合によってはおしっこの姿勢を取るのにまったく出ないということもあります。

犬にマスカットやレーズンなら大丈夫?それともダメ?

レーズン

マスカットやレーズンもぶどう同様、はっきりとした原因が突き止められていない以上、リスク回避のために与えないほうがいいと思います。

特にレーズンは一粒一粒は小さいながらも成分がギュッと凝縮されているため、間違っても大量に食べてしまわないよう注意が必要です。

当然、レーズンパンやレーズン入りクッキーも犬の手が確実に届かない場所に保管する必要があります。

ちなみにレーズンを食べて中毒を起こす目安量は11~30gと言われています。

ですがこれは前述の通り個体差が激しく、これ以上食べても平気な子もいればもっと少しの量で中毒を起こす子もいることを頭に入れておかなければなりません。

犬がぶどうを食べてしまった時どう対処する?

動物病院

もし犬がぶどうやレーズンを食べてしまったときは、すぐに動物病院に連れて行き、催吐処置や胃洗浄を行うのがベストだと考えられます。

ですから、食べたことを確認したのであれば、すぐに動物病院へ連絡をし「いつ、どれくらいの量を、どう食べたのか(皮ごとなど)、犬の今の状態」を伝えて相談しましょう。

食べた量が多い場合は、症状が出ていなくてもすぐに動物病院へ連れて行ってください。

まとめ

有害物質は犬の体内で処理できず、中毒や消化不良を引き起こし、命に関わる危険があります。

犬を愛するなら、与えてはいけない食品について知識を深め、注意して選びましょう。

ぶどうはさっぱりと口当たりが良く、誰が食べても問題ないように思えますが、「たった1粒」でもリスクがあることを忘れないようにしましょう。

  1. ぶどうを食べると急性腎不全を発症する可能性アリ
  2. 症状は急な食欲不振、元気消失、嘔吐下痢、乏尿など
  3. 危険な目安は生ぶどう32g、レーズン11~30gくらい

急性腎不全は処置が遅れると命を落としかねない怖い病気なので、ぶどうを誤飲したことが分かっている場合は症状が出ていなくても出来るだけ早く病院へ連れていくことをおすすめします。

犬にぶどうを食べさせてはいけない

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この記事を書いた人

Wasabimamaのアバター Wasabimama 愛玩動物飼養管理士・農家

愛玩動物飼養管理士で愛犬の専門家であり、飲食業と農業で培った野菜や果物、肉魚などの知識も豊富。

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