普段何気なく使われているクレジットカードですが、ただ申し込んだだけで発行できるわけではなく、所定の審査が必要になります。
というのもクレジットカードは後払いなので、クレジットカードで買い物をするというのは一時的にカード会社からお金を借りているようなものです。
そのためカード会社としても顧客にきちんと返済能力があるか、信用できるかを見極める必要があります。そのために行うのが、クレジットカードの審査です。
クレジットカード会社の審査方法や基準は?
クレジットカードやローンなど、お金を借りる際の審査においては、基本的に「4つのC」と呼ばれるポイントを見るとされています。
- 人格=キャラクター(Character)
-
借りたお金を返済する意思があるか
- 支払い能力=キャパシティ(Capacity)
-
借りたお金を返済するだけの支払い能力があるか(年収面など)
- 資産=キャピタル(Capital)
-
何等かの事情で収入が途絶えた場合でも、担保になる資金力(資産)があるか
- 自己管理=コントロール(Control)
-
計画的な利用や返済ができるか
こういった条件を最低限クリアしていれば、クレジットカードの審査に無事通過するということです。
クレジットカードの審査通過率は?
日本クレジット協会のデータによると、年ごとのクレジットカードの契約件数・申込件数は以下の通りです。
年 | 契約件数(申込件数)※単位:万件 |
---|---|
2019年 | 2559(3362) |
2020年 | 2067(2799) |
2021年 | 2363(3141) |
これを見ると、大体申し込み者のうち7割以上は審査に通っていることが分かります。
しかしクレジットカードの審査の場合、一人ひとりを細かく審査することは基本的にできません。
そのため申し込み時に記入した申し込み者の属性・過去の返済歴などから、これらの項目について問題がなさそうかをチェックしています。
ただしこれだけだと、具体的に審査でどんな部分を見られるのか、今一つわかりませんよね。
審査の際には主に以下のような事を参照します。
- 申し込み時に記入した属性の情報
- 信用情報機関のデータ
申し込み時に記入した属性の情報
クレジットカードを申し込む際には氏名や住所といった基本的な情報から、他社からの借入、年収、勤務先など様々な情報の記入を求められます。
こういった情報をもとに、その人に支払い能力があるかを判断しています。
この際には「スコアリング」と呼ばれる方式を採用しており、スコアリングはコンピューターによって行われています。
これは申し込み者の年収・勤務先・勤続年数・住居の形態等にそれぞれ点数をつけ、一定以上の基準をクリアすれば審査に通るという仕組みです。
具体的な点数の付け方は発行会社によって多少差があります。
カード会社側の宣伝文句として「最短2分で審査が終わる」などとよく言われますが、実際はこういったコンピューターによるスコアリングによって素早く審査を行っています。
属性が理由で審査に落ちるというと、主に以下のような項目に当てはまる場合です。
- 収入が少ない
- 勤続年数が短すぎる
- 居住年数が短すぎる
- 年齢が低すぎるor高すぎる
- 年収に対して不相応と思われる借入がある
信用情報機関の情報(クレジットヒストリー)
申し込み者の属性とともに見られるのが信用情報機関の情報(信用情報、クレヒス)です。
信用情報会社というのは、クレジットカード会社などの金融機関が審査の際に参考にする信用情報を保持する会社です。
こういった履歴は銀行などの金融機関が持っているわけではなく、あくまで信用情報機関と提携する形で、金融機関が情報を受け取っています。
日本には3種類の情報信用会社があり、それぞれがクレヒスを保持し、またこれら3社は互いに情報を共有しています。
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)
- JICC(株式会社日本信用情報機構)
- JBA(全国銀行個人信用情報センター)
クレジットカードを作るうえではCICが特に重要で、CICはクレジット会社が多く加盟していることに加え、他2社と比べても多くの信用情報を持っています。
信用情報機関においては利用者の様々な情報を残していますが、クレジットカードに関連する中で言えば、以下のようなものが挙げられます。
- 利用者の個人情報
-
氏名や住所、電話番号などの個人情報
- クレジットカードの利用状況
-
利用額や返済状況など、基本的に過去5年の記録が残る
- クレジットカードの申込歴
-
過去に申し込みを行った金融機関、基本的に過去半年の記録が残る
クレジットカード会社は、申し込み者の返済能力の確認をするにあたり、その人が過去に金融事故等を起こしていないかは必ずチェックしています。
その際に信用情報機関に登録されている各個人の履歴を参照し、審査の参考にしているというわけです。
そんな中で信用情報に延滞歴等が記録されていると、返済能力を疑問視され、程度によっては審査落ちになります。
また過去にクレジットカード等を利用しておらず信用情報に何も記載されていない場合(いわゆる「スーパーホワイト」)に関しても、若い方であればあまり問題にはなりませんが、40代以上でスーパーホワイトであれば、審査落ちの可能性が高くなります。
また信用情報機関では、個人のカード申し込みの履歴も180日間保存されています。
そのため、審査の段階では、その人のクレジットカードの申し込み履歴を参照できます。
そんな中で多数のカードに申し込んだ履歴があったり、申し込んだクレカのがあるのに契約した形跡がない場合は審査落ちしたと判断され、審査の段階で悪い印象を持たれやすくなり、場合によっては審査落ちになる可能性もあります。
そのため多数のカードに一度に申し込んだりするのは、なるべく避けた方が無難です。
まとめると、信用情報を理由に審査落ちになるのは、主に以下のようなケースがあてはまります。
- 若年層以外(目安として30歳~)のスーパーホワイト
- 過去に滞納を繰り返したり、長期滞納をした経験がある
- 自己破産をした経験がある
- 半年以内に多数のクレジットカードに申し込んだ
- 奨学金の滞納
- ブラックリストに載っている
その他の理由で審査に落ちる場合
クレジットカードの審査において問題になると言われるのは、基本的にこれまで見てきたような項目に問題がある場合です。
しかし一見属性や現在の信用情報に問題がない方の場合でも、謎に審査に落ちる場合があります。
Xというカードの審査には通ったけどYというカードの審査には落ちた、というのはよくあるケースです。
審査基準は公開されているわけではないため、謎に審査落ちになった場合、その理由は不透明なままです。
そんな中で考えられることの一例としては、以下のようなものがあります。
- 社内ブラックである
-
- かつて同じ発行会社のクレジットカードやローンなどの長期延滞等があった
- 規約違反疑いで同じ発行会社のクレジットカードの強制解約をされた
- 同じ発行会社のローンなどで免責を受けた(自己破産など)
こういった事情がある場合、現在の信用情報に何も問題がなかったとしても、会社内部で保管されているデータによって問答無用で審査落ちとなるケースがあります。
こういった状態の事を「社内ブラック」と呼びます。
- カードを使ってくれないと思われた
-
クレジットカード会社側としては、実際に発行しても利用してくれなければ発行した意味がありません。
既に多数のクレジットカードを持っているなど、何かしらの原因で「この人に発行してもカードを使ってくれそうにない」と判断された場合、それがきっかけとして審査に落ちることがあります。
なお既に多数のクレジットカードを持っている場合だと、金銭状況に問題が出た場合に他社の返済を優先され、滞納リスクがあるとみなされる可能性もあります。
ブラックリストとはどんなもの?
何らかの理由でクレジットカードの審査に通らない状態の事を、総称して「ブラック」「ブラックリスト入り」などと呼んだりします。
ブラックリストというのはあくまで通称で、正式にブラックリストというものが存在するわけではありません。
「ブラックリストに載る」などと言われるのは、金融事故などを起こした結果、事故歴が信用情報機関に登録されることを意味します。
こういった状態だと、審査の段階で弾かれるケースが多く、クレジットカードを新たに作成しようとしても難しくなってしまいます。
かといって一度金融事故を起こしたとしても、一定期間で事故歴は消去されるので、一度ブラックリストに載ってしまうと一生解除できないというわけではありません。
ブラックリストは何をすると掲載されてしまう?
一般的に「ブラックリスト」とみなされるおもな事例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 自己破産などの債務整理を行った場合
- クレジットカードで2~3か月以上の滞納をした場合
- カードを強制解約された場合
- 短期間にローンなどの申し込みを繰り返した場合
債務整理を行った場合
債務整理とは当初の契約の通り借金を返せなくなった場合に、返済条件を緩和するなどして借金の返済を容易にするための手続きです。
個人の行う債務整理は「自己破産」「個人再生」「任意整理」の3つがあります。
自己破産とは、債務返済が不可能になった個人が裁判所に認めてもらい、借金返済の義務が免除されることを言います。もっとも重い手続きで、ブラックリストにも長期間載ることになります。
個人再生とは裁判所に再生計画の認可を受けることで、借金を減額します。減額された借金を原則3年にわたって支払うことで残りの借金に関しては返済義務がなくなります。
民事再生を個人でも行いやすく、簡易化したものです。
任意整理とは、お金を貸している側と和解交渉をすることで、利息のカットや返済期間の延長などをすることで、借金を返しやすくすることです。
債務整理自体は債務者にとって必ずしも悪いことばかりではなく、むしろ生活を立て直すためには必要な事でもあります。
ただしこういった記録があると滞納リスクが高いとみなされ、審査には大きな問題になるケースが多いです。
クレジットカードで支払いを滞納した場合
クレジットカードにおいて支払いを長期間滞納してしまうと、ブラックリストに載る確率が高くなり、一度載ってしまうと5年間は解除できなくなります。
もっとも数日程度など、少しの間の滞納であれば通常ブラックリストに載ることはありません。
たまたまお金が入っていなかったなど、意図しないミスでも滞納は起こるからです。
また、滞納を繰り返しても、期間次第ではブラックリストに載らずに済む場合も多いです。
ただし、滞納が2~3か月といった期間にわたってしまうと、ブラックリストに載る可能性が出てきます。
またクレジットカードのほかに携帯料金等も、2~3か月以上にわたって滞納した場合ブラックリストに載ることがあるので注意が必要です。
カードを強制解約された場合
クレジットカードを不正利用や滞納等で強制解約された場合も、信用情報機関に一定期間その情報が残ってしまいます。
カード会社側としても過去に強制解約されている人にクレジットカードを発行するのは躊躇うでしょうから、実質的にブラックリスト状態になってしまう可能性があります。
短期間にローンなどの申し込みを繰り返した場合
短期間に消費者金融のローンなどを大量に申し込むと、お金に困っているといった印象を与えてしまい、審査に通るのが難しい状態になることがあります。
こういった場合は「申し込みブラック」と呼ばれることもあります。
ブラックリストの解除方法は?
ブラックリストを自ら解除することは不可能です。
基本的に新たなブラックリストに載るような問題が起きないように注意しつつ、信用情報機関が決めた期間が過ぎるのを待つしかないのが現状です。
特に現在進行形で延滞があるような場合だと、まず審査には通らないでしょう。
例外としては既に金融事故の解決は終わっていて、事故歴が信用情報に残っているだけの場合だと、新たにカードを作れる可能性はゼロではないと思われます。
そのままだと難しいかもしれませんが、デポジット型カードなどを新たに利用し、きちんと期日に返済して信用情報を積めば、現在返済能力があることは多少なりとも示せます。
自分の信用情報は確認可能
自分がブラックリストに載った状態かを確認する方法はあります。というのも、信用情報機関に所定の金額を払うことで、情報開示請求をすることが可能だからです。
CICであれば、手数料500~1000円を払えばインターネット・郵送・窓口において開示請求が可能です。
そのため場合によっては開示請求をし、あらかじめ自分がブラック状態でないかを確認してからクレジットカードを申し込んだ方が良いかもしれません。
信用情報機関は基本的には5年間情報を残すので、金融事故の処理が終わってから5年後というのが、ブラックリストの解除の時期となります。
延滞中に限っては永遠に残ります。
審査に通らない場合に挑戦したいクレジットカード
クレジットカードのカードの審査にクリアできない場合、代わりの候補になるものとしては以下のようなものがあります。
- デポジット型クレジットカード
- デビッドカード
- プリペイドカード
などがありますますので挑戦してみると良いです。
デポジット型クレジットカード
デポジット型クレジットカードとは、予め「デポジット(保証金)」を預けておき、それを担保に発行されるクレジットカードです。
利用枠は保証金と基本的に同じ金額になり、カード会社側としては滞納→回収不能となるリスクが大幅に小さくなるため、たとえブラックであったとしても、余程のことがない限りは審査に通ります。
デポジット型のクレジットカードとしては
などがあります。
年会費が掛かるのが欠点ですが、ブラックの方でも発行でき、信用情報が空白である方が新たに信用情報を積むことにも利用できるので、現状クレカを発行できない人にとっては、検討する価値のあるカードでしょう。
デビッドカード
デビッドカードは支払った金額が即時に銀行口座から引き落とされる仕組みになっています。
後払いのクレジットカードと違い、銀行口座に入金されている分以上のお金を使うことはできないので、基本的に審査なしで発行ができます。
プリペイドカード
プリペイドカードは事前に利用したい分の金額をチャージしておくことで、その金額まで利用できる仕組みです。
前払いなので、こちらも審査の必要なく発行ができます。
まとめ
クレジットカードの審査においては、個人の属性の他に信用情報に問題がないかを確認されます。
このように書くと審査に通るか不安に感じるかもしれませんが、カード会社側も客の取り合いですし、いわゆる「ブラック」に妥当するような状態でなければ、むやみやたらと厳しい審査を行うことは少ないです。
あるカードの審査に落ちても、別のカードの審査にはすんなり通るといったことはよくあります。そのため、あまり深く考えずまずは申し込んでみるのが良いと思います。