「遺影写真なんて自分には関係ない」
という人もきっと多いですよね。
でも想像してみてください。
自分の写真、持ってますか?
万が一、今自分が死んでしまったら、 一体どんな写真が遺影写真に使われるのか。
縁起でもない!って怒る方もいるかもしれませんが、これって結構大切なんです。
「我が子や家族の写真はたくさんあるけれど、自分の写真は持っていない」という人も、意外と多いのではないでしょうか。
私は以前、葬儀会社にも勤めていました。
たくさんの方々の死を間近に感じ、ご葬儀の様子も見てきました。
そのなかでご遺族が困り果てるパターンが、「遺影に使う写真がない!」というもの。
遺影に使う写真のおすすめは1人で写っているバストアップ
遺影に使う写真を探すために、家中をひっくり返してやっとのことで見つけたのが、30人ぐらいの人たちと一緒に映る集合写真だったりすると、どうしても何十倍にも拡大加工せざるを得ません。
1円玉くらいの顔写真をA4サイズ程度に拡大するのですから、たとえ補正したとしても、ぼけた粗い写真になってしまうのは否めません。
遺影写真としてのおすすめは、やっぱり1人で写ったバストアップ写真。
バストアップ写真とは、頭の先から胸下くらいまでが入るように撮影した上半身の写真のことです。
プリントされたものでも構いませんが、今ならデジカメやスマホなどである程度の画素数で撮影された写真だと、加工する必要もなく綺麗に仕上がります。
「喪服を着ていないとだめじゃないの!?」「帽子をかぶってるけど大丈夫?」
なんて質問も時々ありますが、
今はいつもの自然な姿を遺影写真にする方がとっても多いです。
もちろん、葬儀会社によっては、画像処理で喪服などを着せてくれる場合もありますが、個人的にはいつもの姿でお別れした方が、ご遺族にとっても心が安らぐのではと思っています。
葬儀中だけではない!遺影写真の意外な役割
また、遺影写真は葬儀の際にだけ使うものではありません。
その後の四十九日や一周忌などの法要はもちろん、その後もお仏壇に飾ったり、田舎のおじいちゃん、おばあちゃんの家にいくと居間に先祖代々の写真が飾られているっていうこともありますよね。
それを見て、「ひいお爺ちゃんってこんな人だったんだな」「あれ、おばあちゃんってめっちゃ綺麗な人だったんだ」とか、子供や孫たちが自分につながる祖先たちに思いを馳せるわけです。
遺影写真って、その人が生きた証として、一緒に引き継がれていくものなんですよね。
自分の孫や、その子供達や、未来の子孫たちに見てもらう自分の姿が、とんでもない写真だったらと思うと・・・
「万が一のときはこの写真で!」
と周囲に伝えておきたくなるのは私だけでしょうか。
元気な今だからこそ、自分はもちろん、たとえばご両親、おじいちゃん、おばあちゃんの、お気に入りの1枚を確認しておくと良いかもしれません。
葬儀会社で遺影撮影会や遺影バンクサービスもある
ちょっとシュールな感じもしますが、葬儀会社のなかには自社を紹介するイベントの1つとして、「遺影撮影会」を開催しているところもあります。
きちんとプロのカメラマンを手配して、なかにはヘアメイクをしてくれたり、衣装を選べたりするところもあるそう。
遺影とはいえ、現場は楽しくワイワイとした撮影会になっているようです。
フォトスタジオで遺影撮影プランも
もちろん、フォトスタジオで撮影するのもありかもしれません。
「遺影写真」としてメニューにあるスタジオもありますし、なくても撮影してくれます。
七五三撮影などのついでに、自分の両親にプレゼントするのも良いかもしれません。
クラウドを利用した「遺影バンク」サービス
撮った写真をクラウド上で残しておくというサービスを展開している「遺影バンク」という会社もあります。
ただ単に写真データを預かってもらうだけでなく、全国の葬儀会社と連携していて、万が一の際には預けた写真をそのまま葬儀会社に遺影写真として渡してくれるというスムーズさ(笑)。
会員登録(無料)すれば誰でも無料で利用でき、画像の差替えも自由にできるので、例えば誕生日などの記念日に年に1回は更新すると決めておくといいですね。
同社ではその他にも「家族へのメッセージ」や「万一の時に呼びたい人リスト」などを、ストックしてくれるサービスも展開しています。
自分亡き後の家族のためにできること。
元気な今だからこそ、できることってたくさんあります。
当たり前ですが、死んでからでは後悔すらできないのです!
「死」に対してもっとオープンになって、様々なサービスをどんどん利用していけるような風潮になったらいいのになと思うのでした。
遺影写真準備のすすめ
私の父は64歳という若さでなくなりましたが、実は亡くなる前にある程度の余命を告げられていたこともあって、自分の遺影写真候補までしっかり撮影&準備していました。
なので、遺影写真選びに困ることはなかったのですが、母にはある不満があるようなのです。
それは「遺影の写真の父が若々しいこと」。
母は仏壇にある父の遺影写真を見るたびに「いいなあ、お父さんは歳をとらなくて」とつぶやきます。
母曰く、もし自分が亡くなった後に二人の写真が並べられた時、一人(自分)はしわくちゃなおばあちゃんで、一人(父)は若々しい60代。
これって・・・とちょっと複雑な心境になるそう。
かといって、亡くなった時点で80歳なのに、さすがに60歳のときの写真は使いませんよね。違和感ありまくりです。
ただ、死後もなお綺麗に見られたいという気持ち、女性なら分かりますよね。