アニサキスは普段は魚の内臓に寄生していますが、魚が死んでしまうと内臓以外の部位に移動してしまうようです。
魚を捕まえたらすかさず内臓を除去する、なんてことは、私たち消費者にできるわけありません。
遠洋漁業で捕らえられた魚は、船内で長時間冷凍されます。
日本では24時間以上という目安です。
結論からいうと、アニサキスには正露丸やアルコールが有効である可能性が高いのですが、激しい腹痛があり、アニサキスによる食中毒が疑われるのであれば、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。
芸能人もアニサキスの被害に
品川庄司さん(41)の場合
南海キャンディーズの山里亮太さん(40)の場合
2017年1月10日、朝のテレビ番組出演後に猛烈な吐き気がしたため病院に直行、アニサキスによる胃腸炎と診断された。2日後には仕事に復帰したが、発症する前日に刺身をはじめ生の魚介類を相当食べていたという。
Jcastヘルスケア
渡辺直美さん(29)の場合
2017年3月30日、体調不良で出演予定だったテレビ番組を欠席した。3日後の4月2日、ツイッターで「食中毒から復活いたしました」「皆様、アニサキスに注意です」と報告。痛みのあまり「病院で泣きました」と続けた。
Jcastヘルスケア
魚の鯖(サバ)に最も多いと言われるアニサキス
サバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類に生息するアニサキスですが、中でも鯖による被害が大半のようです。
そもそもアニサキスとは
アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。
その幼虫(アニサキス幼虫)は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。
アニサキス幼虫はサバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類に寄生します。
魚介類の内臓に寄生しているアニサキス幼虫は魚介類が死亡すると、内臓から筋肉に移動することが知られています。<厚生労働省>
食中毒はなぜ起こる?
アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生で(不十分な冷凍又は加熱のものを含みます)食べることで、アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。
<厚生労働省>
食中毒(アニサキス症)の症状は?
◆急性胃アニサキス症
食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じます。◆急性腸アニサキス症
<厚生労働省>
食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を生じます。
※多くが急性胃アニサキス症です。
※激しい腹痛があり、アニサキスによる食中毒が疑われる際は速やかに医療機関を受診してください。
アニサキスの予防方法
普段は内臓に寄生しているアニサキスですが、魚が死んだとたん内臓から他の部位に移動してしまうのです。
なので、魚を捕まえてすぐに内臓を取り除くなんてことは、私たち一般消費者にできるわけありません。
- 加熱:60度では1分、70度以上で瞬時に死滅
- 冷凍:-20度で24時間以上冷凍すると感染性が失われます
- 取り除く:物理的に取り除く
遠洋漁業で捕らえられた魚は、船内で長時間冷凍されます。
日本では24時間以上という目安ですが、アメリカでは、「-35°C以下で15時間以上又は-20°C以下で7日間以上」とされています。
ですので24時間冷凍したとしても、100%は死滅しない可能性が十分あります。
近海でとれた魚はなおさらです。冷凍されずに船倉で氷づめにされたり、水氷(氷と海水を混ぜたもの)の中につけて港まで運ばれます。
この時の水温は低くても-2度くらい。
市場から小売店に届ける際は、冷凍車で運ばれる場合があると思います。
また小売店に魚が届いたら、まずは冷凍庫に入れられるので、これらの間にも多少は死ぬと思われます。
物理的に取り除く方法もありますが、しかし潜り込んでいるものを見つけるのは難しそうです。
私たち消費者ができる予防
私たち消費者ができる予防としては、火を通して料理できれば一番予防できそうです。
冷蔵庫でも冷凍できますが、今日明日食べるつもりの魚を、わざわざ冷凍して鮮度を落としてしまうのも気が進みません。
一般的な料理で使う程度の食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキスの幼虫は死滅しないようです。
物理的に殺す
食事中にアニサキスを気にして身をほじくったり、注意深く探したりしていたら、せっかくの美味しい料理も台無しですね。
そこで最終手段は物理的に傷を与えて殺す方法です。
アニサキスは傷つくと簡単に死んでしまうからです。
なのでよく噛んで食べる!
よく噛むといろいろいい事があると言われています。
- 肥満を防ぐ
- 味覚の発達
- 言葉の発音がはっきり
- 脳の発達
- 歯の病気を防ぐ
- 胃腸の働きを促進する
良くも悪くもアニサキスの成虫は大きいものだと全長5cm以上。
体をとぐろのようにまるめていますが、よく噛んでおけばかなりの確率でヒットしそうです。
魚を食べて数時間後に激痛を感じたら
魚を食べて数時間後に激痛を感じたら、アニサキスの可能性があります。
しかし、アニサキス症に対する効果的な治療薬は今のところ報告されていません。
正露丸に効果があるかもしれない??
大幸薬品株式会社は、この正露丸に含まれる木クレオソートが胃アニサキス症の予防・症状改善のために有効だとしています。木クレオソートはアニサキスの運動を抑えると共に、胃アニサキス症による症状を軽減あるいは消失させることが期待できるとしています。また、木クレオソートを含む正露丸等を食事中あるいは食後に予め予防的に飲むことで、アニサキスが寄生する魚介類を生で食べても胃アニサキス症の症状が軽減される、あるいは胃アニサキス症の発症を抑えることが期待できるとしています。<大幸薬品>
幸いアニサキスは人体の中では長く生きることができず、1週間ほどで死んでしまうようです。
腸アニサキス症に対しては対症療法が行われるのが一般的です。アニサキスは人体の中では長く生きることができず、1週間ほどで死んでしまいます。そのため、摘出しなくてもアニサキスが自然に死滅するのを待つというわけです。
また、腸アニサキス症は腸閉塞(ちょうへいそく)や腸穿孔(ちょうせんこう)といった重大な病気を引き起こすことがあります。このような状態になると、緊急な外科的手術により開腹して最悪の事態を回避します。<ヘルスケア大学>
激痛を一週間も我慢するのはシンドイですね。
というより不可能だと思います。
というのも、アニサキスは粘膜に喰い込む性質をもっています。
酷い場合は、胃なども食い破られてしまうそうです。
そうなるともう内視鏡では取り除けませんので、普通の人だったら、激痛で救急搬送だと思います。
1匹でも恐ろしいですが、庄司さんは8匹もいて2日間も我慢したんですから、さすがです。
しかも救急車ではなく、自分の力で病院に行っています。
主な対症療法としては、鎮痛薬や脱水予防のための補液(点滴療法)などがあるそうです。
他にはメベンダゾールという駆除薬もあるようです。
しかし対処療法では、下手したら胃を食い破られる可能性があるのではないでしょうか?
全然気乗りしないと思いますが、早めに内視鏡で取り除いてもらうことをお勧めします。
実際アニサキスの激痛にあえば、迷わず内視鏡で取り除いてもらうと思います。
アニサキスにはアルコールが有効か??
ネットを見ていたらたまたま以下のPDFサイトを見つけました。
このサイトの掲載情報によると、アニサキスはアルコールに弱いようです。
アルコール度数の高いものには、焼酎や日本酒があります。
日本酒で度数の高いものだと、例えば「越後武士(えちごさむらい)」(46度)があります。
さらに度数の高い飲み物には、96度のスピリタスなどもあります。
効果があるかもしれないとはいえ、激しい激痛の中、大量にお酒を飲むわけにもいきません。
なのでコップ1〜2杯くらい飲んだら体を横にしてみてください。
痛む箇所に飲んだアルコールがいくようしてみるのです。
もしスピリタスを飲めば、上手くいけば1分で殺せます。
アニサキス症の治療方針<医薬品情報>