その人がどんな人物だったのか、
そしてどれだけ愛されていたのか。
涙なくしては読めない弔辞(ちょうじ)の数々を集めてみました。
実は白紙だったタモリの弔辞
タモリが漫画家の赤塚不二夫さんへ読んだ約8分もの弔辞は、
実は白紙であったことも話題になりました。
私もあなたの数多くの作品のひとつです。
タモリさんの弔辞全文(出典:日刊スポーツ)
ロックを愛するからこそ革ジャンで参列
甲本ヒロトさんは忌野清志郎さんの告別式に
哀悼の意を込めた革ジャンスタイルで参列しました。
きょうも、「清志郎、どんな格好してた?」って知り合いに聞いたら、「ステージ衣装のまま寝転がってたよ」と言うもんだから、「そーか、じゃあ、オレも革ジャン着ていくか」と思ってきたら、何だか浮いてるし。清志郎のまねをすれば浮くのは当然で、でも、あなたは、ステージの上はすごく似合ってたよ。ステージの上の人だったんだな、うん
甲本ヒロトさん弔辞全文(出典:朝日新聞)
カンニング竹山さんがコンビ名を名乗り続けるワケ
「中やん」と遺影に呼びかけ「読むんじゃなくて、しゃべるわ」と博多弁で語りかける姿は彼らの強い絆で結ばれた間柄を感じさせるものでした。
カンニング竹山さんが相方中島さん亡き後もなお「カンニング」と名乗る所以がここにあります。
カンニング竹山さんからカンニング中島さんへ
おい良かったな!みんなお前、みんな見に来てよるよ、お前 なんかさ、マスコミとかも、すごいぞ、なんか昔全然こんなんじゃなかったのに、凄いことになっとる!
おまえに、昔お前に辞めようって話したときに、でもなんかこう芸能界の前に爪跡だけ残して辞めようって話しして…爪跡どころじゃなくなっとるよ!
何か色々なあ、俺とお前の何か感動秘話みたいになっていっぱい流されよるけども、俺はお前がもう何て言いよるかもうわかるわ
「気持ち悪いなあ」
ってお前、笑いよると思うんよ。俺もそう思っとるよ。俺はお前となあ、二人でコンビ組んで、ずっとね、こうやって漫才とかやれて、お笑い芸人になって、やれたことが本当に幸せやった。ありがとう。
もういつそっちに往くか、もうわからんけども、俺がまたそっちに往ったらまたやろうや。いいかお前な、待っとけ!…ありがとう、じゃあな!…いつもとおんなじように別れるぞ、じゃあな!
スネ夫からジャイアンへ
アニメ『ドラえもん』の初代ジャイアン役や『ヤッターマン』のトンズラー役などの声優として親しまれたたてかべさん。“スネ夫”肝付兼太さんがスネ夫としての言葉も交えながら語りました。
天国についたら住所を教えてください。DVDを送ります。奇しくも、7月公演は『おしいひと』というタイトルなんです。パンフレットにかべさんのことを書かせてもらいました。僕にとって、まさにかべさんは「おしいひと」でした。かべさん天国にいる家では、懐かしい人達が、先輩も後輩も大拍手でかべさんを迎えてくれるんですよね。早く私も行きたいなぁ。みなさんによろしくお伝えください。でも、僕はもう少し地球上で頑張ってみます。
本当に55年の間、友だちでいてくれてありがとう。安らかにお休みください。ご冥福をお祈りします。
ジャイアン、ジャイアンのくせになぜ先に逝っちゃうんだよ。スネ夫でした。
“スネ夫”肝付兼太さんの弔辞全文(出典:NEWS LOUNGE)
長渕さんはギターで別れの言葉を
長渕剛さんは自身の「12色のクレパス」をギターで弾き語りながら
俳優二谷英明さんへの想いを語りました。
お父さん、人生ってもしかしたら僕らが考えてるよりも、短いのかもしれないね。そして死っていうのは突然にやってきてさあ、そしてあっけなく終わってしまうのかもしれないね。
僕はね、お父さん、さっきからダンディーなお父さんの写真を見ながらずっと考えてた。なぜ、僕たちは、大切な人が亡くなったらたくさんの涙を流すんだろうかって。もちろん、亡くなってしまったことは悲しいけれど、それは、あの時のお父さんの笑み、あの時の優しいまなざし、あの時の「おお食べなよ、たくさん食べなよ、懸命に生きてくれよ」、あの時の等身大の二谷英明、お父さんにもう2度と会えないから、もう2度とアナタと会うことができないから、涙を流すんです。
長渕剛さんの弔辞全文(出典:日刊スポーツ)
野田秀樹さんの勘三郎さんへの想い
歌舞伎俳優・中村勘三郎さんの本葬では
親しかった劇作家・野田秀樹さんが独自の表現で弔辞を読み上げました。
どうか、どうか、安らかなんかに眠ってくれるな。
野田秀樹さんの弔辞全文(出典:NEWS LOUNGE)
この世のどこかをせかせかとまだウロウロしていてくれ。
いかがでしたか?
弔辞からは、亡くなった方とのプライベートでのとても親しい間柄を垣間見ることができます。
また同時に、わたしたちは亡くなった方の魅力を改めて再認識することができますよね。
万一自分が死んだら、いったい誰がどんな弔辞を読んでくれるんだろう。
あー、生きているうちに聞けないのが残念!
妖怪があちこちに出現!?水木しげるさんお別れの会がセンス抜群
2015年11月に93歳で亡くなった漫画家のさんのお別れの会が、2016年1月31日(日)に東京都青山葬儀所で開かれました。
<産経ニュース>水木しげるさんお別れ会に現れた「妖怪ケータリング」完成度が高すぎ
話題になったのが、ゲゲゲの鬼太郎に登場するキャラクターたち、がいたるところに散りばめられた演出の数々。
参列者の胸元には洋菊で作られた「目玉おやじコサージュ」がつけられ、さらに料理には「ぬりかべ風サンドウィッチ」や「目玉おやじ風軍艦」「一反木綿風イカにぎり」などが並べられたといいます。
要は超贅沢なキャラ弁のようなものですよね。なんとも愛嬌があって可愛らしく、これが「お別れの会」だなんて思えないほどです。
丸い輪が花々で描かれた祭壇は、お別れの会の発起人である作家の京極夏彦さんがデザインしたもの。
地続きである此岸(しがん)と彼岸を表現し、開いた輪の向こう側にいる水木しげるさんへ思いが伝わるようにと作られたといいます。
遺影写真の後ろには鬼太郎をはじめ数々の妖怪たちが水木さんを囲むように配置されています。
さらには水木さんへのお手紙を投函できる「妖怪ポスト」も設置されたとか。
これらの演出を手がけたのは生花業界大手であり、自社でも葬儀を手がける日比谷花壇。
葬祭業をちょっとかじった身としては、一般的な葬儀会社とは一線を画したそのセンスの高さに「やっぱりさすがだなあ」と思わずにいられません。
今、一般的に葬儀はとても小さくなっています
首都圏では「直葬」と言われるいわば火葬だけのお別れが、約3割を占めるともいわれています。
でもその一方で、その方らしさを大切にした葬儀をしたいというニーズも増えています。
「その方らしさ」とは言っても、必ずしもお金をかける必要はないんです。
たとえば遺影写真以外にも写真をいたるところに飾ったり、好きだった音楽をひたすらかけたり。
亡くなった方の人柄だったり、雰囲気だったりがふと感じられるような式。
「自分の葬式にそんな凝ったもの必要ないよ」と思うかもしれません。
でも残された家族にとってはそれが慰めになるものなんですよね。
「お父さんらしい式だったね」
「一緒にいたような気がするね」
辛い最後のお別れだからこそ、のちのち思い出したときにほっと心が和むようなお葬式って素敵だと思いませんか?